東洋医学では、私たちの体には「気・血・水(き・けつ・すい)」という3つの要素が巡っていると考えられています。中でも「気」は生命エネルギーとも言える存在で、体のすみずみまで流れています。その道筋が「経絡(けいらく)」であり、経絡の上に存在する重要なポイントが「ツボ(経穴:けいけつ)」です。鍼灸治療は、この経絡とツボを用いて、滞った気や血の流れを整え、体本来の治る力を引き出していく療法です。
経絡は体の中を縦横に走る12本の「正経」と、補助的に働く8本の「奇経八脈(きけいはちみゃく)」があります。たとえば「肺経」は呼吸や皮膚の働きに関係し、「胃経」は消化や代謝を司ります。興味深いのは、経絡は内臓だけでなく体表にもつながっているということ。胃の経絡は顔から胸、お腹を通り足の先まで伸びているため、胃の調子が悪いと顔のむくみや脚の重だるさとして現れることもあります。経絡はまさに、体の内と外をつなぐネットワークなのです。
一方のツボは、その経絡上に点在する“調整ポイント”です。全身には約360以上のツボが存在し、それぞれに名前と働きがあります。代表的なものに、ストレスを和らげる「神門(しんもん)」、頭の重さを軽くする「百会(ひゃくえ)」、肝の働きを整える「太衝(たいしょう)」などがあります。ツボは、まるで電気のスイッチのように体の流れを調整する役割を持っています。鍼やお灸を用いて刺激することで、滞った気血の流れがスムーズになり、痛みやコリ、内臓の不調、自律神経の乱れなどを改善に導きます。
最近では、ツボ刺激が血流や自律神経、ホルモンバランスに作用することが科学的にも報告されています。東洋医学の理論と現代医学の知見が重なり始めており、鍼灸の有効性が少しずつ明らかになってきています。
ツボは自宅でも簡単にケアできます。たとえば、肩こりや頭痛のときは「合谷(ごうこく)」、冷えや生理痛には「三陰交(さんいんこう)」、疲れたときには「百会」を軽く押してみましょう。自分の体と向き合い、ゆっくり呼吸しながらツボを刺激することで、心も体も落ち着いていきます。
経絡とツボは、古代から受け継がれてきた「体の地図」。その流れを整えることで、私たちは本来の自然なバランスを取り戻すことができます。日々の不調をただ我慢するのではなく、体の声を聞くための“道しるべ”として、ツボを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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